第13回奈良まほろばソムリエ検定(奈良通1級)にて
「奥徳平が果樹園の『薬水園』を作り、吉野郡大淀町で盛んに栽培されるようになった果物は何でしょう」
という設問が出されました。
答えは、梨なんですが、まったく聞いたことがありませんでした。
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奈良でとれる果物でパッと思いつくのは柿かしら
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奈良といえば柿の葉寿司が有名だしな
ただ、調べてみると、吉野郡大淀町には地元では有名な大阿太高原梨というブランド梨があるものの、その生産量の少なさから幻の梨と呼ばれていることがわかりました。
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幻の梨!?
食べてみたい!!
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だけど梨って晩夏の果物だろ
もう10月なのに手に入るのかよ?
そう。
梨の最盛期は8月〜10月といわれているのです。
行こうと思い立ったのは10月8日。
さてさて、間に合うのでしょうか。
梨の風吹く大阿太高原(おおあだこうげん)
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大淀町マスコットキャラクター・梨の妖精「よどりちゃん」がお出迎え。
梨の風吹くというのが大阿太高原のキャッチフレーズなのでしょうか。
せっかくなので少し歩いてみることにしました。
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ここ大阿太高原は大淀町西部から五條市にかけて広がる標高150~250mの丘陵地帯。
昼夜の寒暖差が大きく、赤土に小石が混じった土壌は強粘土質で、ミネラル分が多く含まれていることから、梨の糖度を高めるとされています。
ただしこの土壌も長年梨づくりをして来られた地元農家の方々が長年かけて改良してきた賜物なんだそう。
そして、この地に初めて二十世紀梨を植え、普及させたのが奈良検定の設問に出てきた奥徳平(1878~1927)という人です。
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大阿太高原に梨を持ち込んだ奥徳平という人
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奥徳平さんは明治〜昭和の時代を生きたひとです
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凱歌は商標登録もされましたが二十世紀梨と凱歌梨の本家争いをめぐる訴訟で敗訴
明治37年に「二十世紀」と同品種のものだと認定されたことで、凱歌は二十世紀と呼ばれるようになっていきました。
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現在でも作られている主流は二十世紀梨です。
○奥徳平の功績は黒斑病対策を発見したこと
甘味と酸味が絶妙でとっても美味しい二十世紀梨。
透き通るような薄緑色に輝く姿はまさに宝石と言っても過言ではないかもしれませんが、そんな二十世紀梨にも弱点がありました。
それは黒斑病に弱く、なかなか育たないこと。
当時は健康な木に育てるのは至難の技だと言われていました。
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そんなのどうやって克服したんだ?
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パラフィン紙で作った袋を被せることを思いついたらしいわ
徳平は紀州みかんの腐敗防止にパラフィン袋が使われていることを知り、梨の栽培に試用。
黒斑病対策にも有効であることを発見しました。
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ところでパラフィン紙ってなんだ?
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今はワックスペーパーと言った方がわかりやすいかしら
某ドーナツショップでドーナツを買うと一緒につけてくれる半透明のツルツルの紙なら見たことあるんじゃないかしら
その後、パラフィン袋は全国の二十世紀梨農家に広まり、100年後の今も使われています。
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大阿太高原梨の旬は7月下旬〜11月頃まで
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所在地 | 奈良県吉野郡大淀町薬水1168-12 |
営業期間 | 8月~10月中旬ごろまで |
営業時間 | 9:00~17:00 |
駐車場 | 無料駐車場50台有 |
公式サイト | 龍水園 |
とりわけ、大阿太高原梨の代名詞である二十世紀梨の旬は9月初旬から9月下旬となっています。
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龍水園さんでは現在一般の梨狩りは受け付けていませんが、10月中でもまだ梨狩りできるところがありました。
そんなわけで大阿太高原梨。
ギリギリ手に入れることができました。
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ひと盛り(5個)で500円➕ひとつおまけしてくれました。
○まぼろしの梨といわれるのは樹上完熟ゆえか!?
大阿太高原梨のこだわりは樹上完熟してから収穫するというもの。
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樹上完熟ってなんだ?
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樹になっている状態で完熟になるまで待ってから収穫することよ
そうする事で味に深みが出て、果汁たっぷりの梨になるの
果物本来の味を楽しむことができる樹上完熟。
しかし仲介を通して販売する場合、日持ちの関係でロスが多くなってしまうため、市場に出すのはなかなか難しいそうです。
そのため、収穫した果物を直接販売する体制が整っているところでしか売ることが難しいとか。
圧倒的な流通量の少なさと樹上完熟ゆえの市場流通の難しさ。
それがこの梨をまぼろしたらしめている理由なのでしょう。
今回は、幻の梨とよばれる大阿太高原梨のルーツとその美味しさの秘密にせまりました。
最盛期は100軒を超えた梨農家も、現在は約40件と減っており、将来的には本当に「幻」となってしまうかもしれません。
大淀町では新たに「梨の花プロジェクト」が発足され、梨の果実だけでなく、梨の花が咲き乱れる美しい景観を広めようと活動されています。
梨の花が咲く頃に、再び訪れてみたいと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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